セミナーの様子COMMEMTS
受講生の感想(2024年度)
【E全体総括セッション】
- 内発性を考えると、ある種の社会運動(全体の合意形成までは至らないが、社会問題を提起するプロセスに重点を置く運動)についての意義はより高まるのではないか。(合意形成に至らない重要性)
- 本セミナーを通じて、市民参加型合意形成で重要なことはステークホルダー間の「対話」であると感じました。それは坂野先生のおっしゃる「truth tellingの対話」であり、錦澤先生のおっしゃる「地域便益創出の対話」であり、豊田先生のおっしゃる「クリエイティブでポジティブな対話」であり、高田先生のおっしゃる「インタレストに基づくマネジメントチームでの対話」である。ただし、このような対話を実現する手段はファシリテーターの質に依存している。質の高いファシリテーターを育成し事例を通じたノウハウを蓄積するとともに、普段のコミュニティにおける小さな対立の無い合意形成においても「対話」を行い決めるという文化醸成が必要だと感じた。まず、自分には何ができるか考えてみたい。
本セッションにて合意形成の対立解消を支援ツールを紹介させて頂いた。現在、このツールの実用性を実験で評価し始めているが、本セミナーを通じて合意形成のアプローチがケースバイケースであることを理解したため、評価することの難しさを感じている。このツールが使える対立状況をもう少し精査したい。
本セッションでは、参加者が話題を提供することで、話題提供者は本セミナーの知識を自分事として捉えることができる良い機会となった。
合意形成支援ツールを開発するに当たり、合意形成における時空間的効率性や心理的負担解消のようなことを考えていたが、本セミナーを通じて、このような認識は「逆」なのだろうと思った。極端に言うと、非効率で心理的ストレスのかかるようにするツールが必要なのかも。
- 今回のセッションでは、受講生の方から実際の合意形成の場面紹介があり、皆さんが本セミナーに参加された背景や理由、本セミナーを通じて学ばれたことや感じられたことを聞かせていただくことができ、大変参考となるとともに、「合意形成」についてさらに興味がわきました。
大なり小なり、合意形成の場面は日常にあふれているように思います(例えば、仕事でのお客さんとの各種交渉や打合せ、職場内での相談事項や調整事、家族で夕飯や旅行先を考えているとき…。)これまでのセミナー受講を通じて、合意形成の場面(世界、国家、地域、自治体など)、合意で形成されるもの(制度、政策、プロセス、納得など)、合意形成の方法(対話、制度、アセスメント、フレーム、ファシリテーション、情報収集(、忍術)など)について、多角的な視点から学ぶことが出来ました。
「合意形成」は身近なものではあるものの、今回のように理論的・学術的な視点で向き合ったことはなかったため、非常に貴重な機会となりました。私個人としては、合意形成=コミュニケーションや対話の積み重ねとその結果、であると理解しました。高田先生の最後のお言葉にありました、「現場で経験し、技術をつけて、勘を磨く」を実践していきたいと考えています。
- 本クラスで学んだ事柄を、業務や会社内組織での合意形成の場において応用していきたい。その一方、今後時間の経過につれ、人口構成や、都心回帰等の都市構造、人々の関心、技術進展等の様々な変化の要素の中で、合意形成の在り方も変わるものと思われる。社会の変化にも注意しつつ、ベターな方法を考えていきたいと思う。
合意形成学は今回の講義を通じて初めて触れた学問であったが、今後どのように発展していくのか。今後市民にも広く認知されていく、もしくはスペシャリストが育っていく等、先生方のお考えを伺いたいと思いました。
- 自分が直面する合意形成局面の特徴を整理して、今回学んだ合意形成学の要素をどのように取り込めるかを時間をかけて整理したいと思った。
- この度は、「合意形成学」のセミナーに参加したことで、学びは大切だと再確認しました。私自信の合意形成現場で、心配り、思いやり、熱意で、進んで行くところが多いのですが理論的に考察し、最善(最良)の道を導く方法を教えてくださり、今後の大きな助けになるのと思います。
当初、本セミナーを申し込むか悩みました、その理由は、私はついていけるのか?おいてきぼりにならないか、セミナーについていけるのか?思案しましたが、最後までセミナーを受講させていただき、そのような心配は要らなかったと感じました。
今後、もし同じような理由で受講を悩んでいる方がいれば“興味があれば受講して下さい、この合意形成学セミナーは受講生も講師の方々も一丸で、学べる優しく楽しいセミナーです“とお伝えしたいです。勉強になりました、ありがとうございました。
- 私自身、東日本大震災後に、複数の合意形成の現場に関わることが多くあり、特に合意形成ということを意識せずに、ワークショップにおけるファシリテータ役を担ってきた。ワークショップを推奨していたわけではなく、復興という事情から、トップダウンで物事を進めることの限界があったからである。当時は、トップダウンではなくボトムアップで、市民・住民参加で物事を考えるという流れもあったかと思う。時を経て、ワークショプの役割も、創造的な解をもとめるようになり、変化が生じていると感じた。また、今回の議論のテーマにもあったように、デジタルを活用した合意形成に関しての議論は興味深いものであった。私自身もデジタルを活用した合意形成の場づくりに取り組んでおり、引き続き、学んでいきたいと思う。
- 10回にわたり、セミナーに参加させていただき、ありがとうございました。学んだことを、業務における合意形成の場に生かしていきたいと存じます。
小生の議案では、多くの意見をいただき、大変ありがとうございました。直接の説明ができず、申し訳なかったですが、猪原先生より端的に主旨をご説明いただき、感謝申し上げます。
今回録画での視聴になってしまいましたが、小生の議案のブレイクアウトルームの中で、豊田先生より「高校生の自己評価事例」の紹介があったと聞きました。どのようなものか、資料を提供いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
- 私自身長くM&Aビジネスの現場に身を置いて来た中で、常に根回しや調整をしながら交渉ごとに関与して来ましたので、今回のセミナーを通じて、合意形成のテーマ・場面が異なれば、合意形成のプロセスやその過程で大切にしている視点が異なるということを、より解像度を高めて認識できたことがとても新鮮でした。
印象に残っているのは、豊田先生が関与されてきた「パブリックの場」における様々なプロジェクトでの“対話”では、プロジェクトチームとして徹底的に恣意性を排除することに力点が置かれているということ。様々な利点についての説明がありどれも理解できる点でしたが、一方で、物事をスムースに進めるためには事前の根回しや調整を図ることで、より効率的にプロセスが進む点も無視はできない、といった思いがまだ存在しています。
その後、高田先生のセッションで、“合意形成を行う前の下地づくり”という文脈において、“事前の根回しが行われることもある”という話を聞いて、事前の根回しや調整を組み込んだ上で、不足の事態にも対処できるようなプロセスってモデル化出来ないものか、といったことを考えさせられるキッカケとなりました。
また、M&Aの合意プロセスがどのようなものなのかを考えるキッカケにもなりました。私自身、合意とは、「各ステイクホルダーが達成したい目的を合理的と思える水準で相互に受け入れること」、そして合意形成とは、「各ステイクホルダー間の利害調整プロセス」と捉えています。M&Aはこの観点で合意形成プロセスだと考えています。
その上で、合意形成にあたって“M&Aの場”の特殊性は、大きく2点あると感じています。
(1)「売主」と「買主」といった“立場が明確に違うステイクホルダーが存在している”こと(明確な利害相反関係にあること)
◆売主と買主の共通の目標(達成したいこと)は、「売買が成立すること」ですが、一方で、合意に至る過程では様々な事象に対して立場の違いから選好、優先度などが異なります(明確な利害相反関係にある事象が多く存在しています)。一例を挙げるとすれば、買収金額、従業員の雇用条件(報酬、福利厚生など)、顕在化している債務やリスクの分担(ビジネスイシュー、税務、人事、労務問題など)、潜在的な債務(環境問題、製造物責任など)のリスク分担などがあります
(2)交渉プロセスが介在すること
◆立場が明確に違うからこそ、一定の時間軸の中で合意形成を図るには交渉が必要であり、また歩み寄り(譲歩)が必要になります。全てが自分たちの思う通りに合意することは基本的にあり得ませんので、それぞれの個別事象において優先順位付が重要となり、絶対に譲れないもの、ある程度歩み寄りが可能なもの、譲っても良いものなどの仕分けを行い、相手方との交渉過程で全体的なバランスを見ながら合意を図っていくのが一般的な流れです(立場が明確に違うからこそ、自身の要求を通すためには主体的な参加が必須で、周りがお膳立てをすること自体は不要)
◆ただし、ステイクホルダーは「売主」と「買主」とに二極化されがちですが、実際にはそれぞれの内部と外部に多くのステイクホルダーが介在していますし、その多様なステイクホルダーの存在が「売主」と「買主」との交渉に大きな影響を及ぼします(内部:従業員、労働組合、子会社経営陣など、外部:資金の貸し手である金融機関、資本の出し手である株主、取引先、事業パートナーなど)
年明けから、M&Aのアドバイザーという立場から一新、不動産会社に身を置くことになり、直接的な仕事はグループ全体のM&A戦略を考えることや個別のM&Aプロジェクトの推進を行うことです。ただし、その過程では経営陣と現場を司る事業部門との間で、「事前の」又は「相手方との交渉過程において」利害調整が必要になると思いますし、私自身の直接的な役割ではありませんが、不動産会社はまちづくり、空間づくりなどの一翼を担う立場として、地域貢献、社会貢献を果たしていくことも使命だと思いますので、街づくり・地域づくりを担う社内やグループ会社の各事業部門の方と話す機会があった際には、今回のセミナーで得られた知見や視点を活用又は共有出来たらと思います。もしかしたら、その過程で先生方のお力添えをいただくこともあるかもしれませんし、私も旧社会理工学研究科の修了生でもありますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(2024年度E全体と総括セッション にて)
